生きてるだけでまるもうけ

つらい事もあるけれど生きてるだけでもラッキーなのです

物流現場では困っている 『神エクセル』

一年前にこんな記事を書いた。

 

transistor-circus.hatenablog.com

 

 


この一年の間に、出荷指示の様子はかなり変わってきた。
システムから出力されるデータで指示を行う案件が増え
逆に、紙やPDFなど入力が必要とされる案件が減ってきた。

各企業がデジタルへの意識転換が進んできたのだと思うが弊害も増えてきた。
『デジタルデータであればいいだろう』という意識なのか『神エクセル』が増えてしまったのだ。
神の方が紙よりもマシ。
とはいえ、出荷指示データは本来物流側で手を入れるべきではない。
生のデータをシステムに取り込むのが本来だ。
データに手を入れる場合は別の専門作業で別途費用となるのが常識。

ここを理解せずに、『エクセルで出荷指示を入稿します』というワードだけで出荷指示を作成する企業が多い。

前置きが長くなったが、現場で何が起こっていて何がいけないのか?という点をまとめようと思う。


1 色はシステムでは読み取れない

黄色で塗りつぶしたセルのところだけ送ってくれ
赤字のところは不要
黄色は2倍の数を送る
など、色で指示を出してはいけない。
色の判別が付くのは人間だけ。システムは色の判別ができない。
エクセルでさえ、色でフィルターがかけられるようになったのは最近だ。


2 セル結合は悪以外の何者でもない
同じ言葉がずらっと並んでいると見づらい。
これを結合して一つに見えるようにすると確かに見やすい。
でも、見やすいのは人間だけ。
システムは結合されたセルを見分ける事ができない。
システムは、横一列を一つの注文と考える。
複数の注文にまたがるようなセル結合は、全く認識できない。

同じ言葉が並んで見づらい。と思うのは人間だけなので
システムのためには、同じ事をずらっと並べよう。

 

3 「隠した行」はシステムでは丸見え

発送したくないところの行は隠してしまう。所謂非表示である。
これが認識できるのは人間だけ。システムにおいては丸見え状態であり出荷対象となってしまう。

出荷してほしくないのであれば、行を削除してしまうか、出荷対象フラグを追加してフラグ管理する。

 

4 数字に見えても『文字』の場合がある

セルの書式によって、数字に見えても文字の場合がある。
また、よかれと思って『1個』単位を入れてしまったらそれは、数字ではなく文字。
ひらがな等と同じ文字として扱われてしまうため、システムからすれば何個送るの?という事になってしまう。

システムから見れば、いくつ必要なの?という問いに対して『赤がすき』という関係の無い返答をするように見えてしまう。


5 太字、大きな文字、斜体、全て意味が無い

忘れないように目立たせようと思って文字フォントを変える事があるが、
システムにとっては全て同じ文字。
意味が無いから止めた方がいい。


6 計算式はNG。全て値にする事

計算式で合計を出して、その数を出荷して欲しい。という出荷指示。
人間は数を認識できるしエクセル上でも問題ない。
が、システムでは判別ができない。
例えば
 1+2 = 3 
3個送って欲しいというつもりで上記の式を入れたとすると
システムは
 1+2
という文字としてしか認識しない。
いくつ送ればいいか永遠にわからない。


7 『備考』のようにフリーワードで指示されてもシステムは無視する

フリーワードで入力する項目を用意してそこに指示を書き込むような事は無意味。
機械は読み込んでも意味が把握できない。
フリーワードを認識して、正確な返答を行う事ができるのはAI。
そのAIでも、物流指示を正確に読み込んで作業に反映することなどはできない。
だから、フリーワードの項目自体、無意味なので削除されたし。

 

8 そもそも保存形式がダメ
.xlsxのようにエクセル形式で保存されているリストは『システム処理できない』と思っておいたほうがいい。
誰かがこの形式で保存したデータを出荷データにしようとしているのを見たら『CSV形式じゃないといけないのではないか?』をそっと教えてあげよう。
システム処理をするなら『.csv』。
でも、この形式で保存をすると上記のような『見栄え』のために使ったものは全て無かった事になるので注意。

ならどうすればいいか?
色もダメ、結合も、隠すのもダメ。ならどうやって伝えたい事を表現するのか?
全て『フラグ』で表現する。
例えば
 表示を隠して出荷対象から除外したいのならば
 行を一行追加して、出荷するデータは「1」出荷しないデータは「0」を入れる。
というように、全てフラグで表現する。
表現しなければならないものが多くて横に長いデータになってしまう。。。
という心配がるかもしれないが、システムは一度設定すれば自動なので気にする必要は無い。
それよりも、色などで表現される事の方がやっかい。

人間が見てわかりやすいデータは必ずしもシステムが読み込んでわかりやすいデータとは限らない。
逆に、人間が見て分かりやすいデータはシステムでは読み込めない。と思っておいて間違いはないだろう。


物流の現場では、出荷指示がデータに変わっていく事で本当に困っている。
データの扱いをちゃんと学んで正しいデータ形式で入稿すれば、
余計なコストがかからず結果的にコストダウンにつながるはずだ。